『科学立国の危機』
東洋経済新報社から出ております豊田長康さんの『科学立国の危機』。
大変分厚い本で読み応え申し分ないです。
現在いかに科学が政府から蔑ろにされているのか、そしてそれがGDPの伸び悩み、先進国なのにイノベーションの広がりの無さを生みだしている惨憺たる状況…そしてそれを裏付けるための膨大な資料の引用を読み解く、という内容の本でございます。
とにかく膨大なデータです。グラフの多さ、そしてそのグラフがどれだけ信頼におけるかをまず徹底して説明。なんですかね、見えてる一面からでなく全面から事柄を説明するために尋常ではない資料が用いられます。それがグラフが出てくるたび必ずなんですよね笑
それからグラフの読み解きが始まります。
読んでる側からもう感嘆の言葉しかでませんでしたわ。
こういう方々って決して観念的な話や感情論は話さず、完全に重箱の隅に何ひとつ残さず、返す言葉もないくらい調べ尽くしてお話しますよね笑
自分の伴侶も彼らと同じ人種なのですが、論文書く人ってこうなんだなーと改めて感じました。
研究する時間が足りない→質のいい論文が書けない→イノベーションが広がらない→GDPが右肩上がりにならない→行政「なんか予算の割に成果出てないし減らすわ」→資金繰りばっかり→研究できない→成果出ない→『日本じゃ研究者やってけねえ』と海外に流出する研究者達→研究者人口は減り一人当たりの仕事量は膨大→振り出しに戻りつつ更に悪しき項目もこの循環内にプラスされていく。
という具合でした。ざっくりですが。
小泉政権って本当何を残したのでしょうか?リチャード・ギアに似てるとかで「ジューンちゃーん!」とか抜かしているご婦人方おりましたが、当政権時に国立大学の独立行政法人化で、一気にとんでもないことになったようです。『自分たちでお金を作らねばならない』多くの研究者達がそれにより今日も研究できないで雑務ばかりをしております。
民営化により多くの中小企業も大打撃を受け、自分の父の会社ももれなくダメージを受けました。これに対しては恨み節が垂れ流しになりますのでストップかがくぎじゅ艶しますが、悪循環に入っている最中なのは事実でしょう。
あとね、二重国籍のあの方の事業仕分けね。
科学技術に対してとんでも発言しましたけど、他にもかなりいい加減なようで。
必要だとされる都市部の災害対策も中断させたようですね。
大切なのは『選択と集中』ではなく『イノベーションの広がり』という現場の声。
非常に(頭が慣れておらず)大変な本でした。あまり読まない部類でしたので。
しかしとっても考えさせられる本です。良い時間を過ごせました。
感想書くのも一苦労です笑もうこれ以上は広げられない。いい加減な事を普段言っている自分に、正確に書ける自信がない。