食品添加物と医薬品~アルミニウムの利用~
皆様はじめまして。
伊勢太郎の伴侶の淡路ひかりです。
現役の薬剤師です。
伊勢太郎が、ベーキングパウダーを使って料理しているのを観察していました。
その時に、そのパッケージにはアルミニウム(以下Alと略します)不使用の記載が
ありました。Alについてここで書かせて頂きます。
含有量の表示は、以下の通りです。
成分重量を円グラフにしてみました。
この中で、2番目に重量の多いグルコノデルタラクトンについて調べてみた。
するとこれは、グルコノ-1,5-ラクトン、1,5-グルコノラクトン、グルコノ-δ-ラクトンと
も呼ばれており、食品添加物で酸味料・pH調整剤・膨張剤・豆腐の凝固剤などとして
使われるとの記載があった。(出典:栄養・生化学辞典)
ふわふわのパンケーキを作るなら、
これを入れることは鉄則である。
但し、調子に乗ってこのベーキングパウダーを入れすぎると苦くなることが
ありますので、ほどほどに!!
そもそもAlは、我々の日常生活に欠かす事のできないものとなっています。
日本はAl地金の99%を外国から輸入しており、世界最大のAl輸入国です。
一円硬貨は、Al100%で作られておりますし料理で使用するアルミホイルもAlから
製造されています。(出典:元素検定 化学同人)
元素名の由来
古代ギリシャやローマのミョウバンの古名「アルメン(alumen)」から来ており、
ミョウバンはAlを含む化合物です。(出典:周期表と元素 Newton press)
Alの性質
金属Alは銀白色の軽金属です。空気中では、表面が薄い酸化保護膜に覆われるため、
内部まで酸素が行きわたらず、くさりにくくなります。
Alの利用
金属のAlが生産されたのは、電気分解によってで1825年のことでした。
以下の化学反応式は、酸化アルミニウムと炭素が反応して、電気分解によって
金属のアルミニウムを得る反応です。この反応で、重要なことは二酸化炭素が
発生することです。二酸化炭素は、温室効果ガスの一因にもなっています。
ナポレオン3世が開催した晩餐会では、Al食器が高級食器として使われたと
伝えられています。また、胃潰瘍の予防や治療にAlを含んだ医薬品としても
利用されております。
代表的な薬には、水酸化Alやケイ酸Al、スクラルファートなどがあります。
医薬品としてのAlの利用
胃酸の分泌が増えると胃炎や消化性潰瘍になります。 しかし、過剰にでた胃酸を中和し痛みを和らげ、酸性で活性化されるペプシンを
不活化すると、病気の進行を防ぐことができます。
現在では、胃酸そのものの分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬:PPI)が
臨床では主に使用されています。
特に臨床において、PPIは鎮痛薬(痛み止め)が処方される時に同時に出されることが
多いです。鎮痛薬は、胃の粘膜を荒らし潰瘍を作ることがあるからです。
まとめ
我々は、日常生活においてAlの恩恵を受けています。がAlにとって代わる金属や
医薬品として応用されていることも事実です。