『墓場まで持って行きたいレコード10枚を選ぶとしたら…』/父はかく語りき
~伊勢太郎の父はかく語りきvol.1~
皆さん、こんにちは。make me smileです。今年63歳になる音楽好きのジイさんです。
年齢が年齢なので、内容のほとんどが昔の話ばかりになりますが、どうかお許しください。
さて、今から40年程前の出来事になります。
私の高校時代のクラスメイトに、当時『夜のヒットスタジオ』などメジャーなTV番組にも数多く出演し、大手芸能事務所に所属していた日本のロック・バンド、キャデラックスリムのリード・ギタリストがいます。名前はテツヤ君。もちろん本名ではありません。
彼が4年程前に帰省した時の事です。
テツヤ君は私に
「ねえ、墓場まで持って行く洋楽アルバムを10枚選ぶとしたら、一体何を選ぶ?ベスト盤は無しだよ」
と聞いて来ました。
楽器の演奏経験はほとんどありませんが、テツヤ君とは音楽の話をよくします。
テツヤ君は「まず1番に選ぶのはニールヤングだな」と、アーティスト名を言ったと思います。酒の席で酔っていましたので、アルバム名は思い出せません。
次の日の夜にまた会う約束をしていたので、私は「その時までに考えてみるのも思い白いかな」と思い、その日の夜、色々と考えてみました。
翌日に再会した私達ですが、色々と話をした別れ際、私が選んだ『墓場への10枚』を書いたメモを彼に渡しました。
「選んでみたけれど難しいね。あくまでも今日現在の選択でしかないね」
と、確かそのような事を伝えたと思います。
残念ですが手元に当時のメモが残ってないので、選んだ10枚はハッキリ思い出せません。今、確実に思い出せるのはせいぜい「5枚」までです。
当時『墓場の10枚』として選んだアルバムは
何だったのでしょう?
テツヤ君から質問を受けた時には確かに10枚を選びました。
しかし、5枚までは今でも即答する事ができますが、それ以上となると自分の中で無理やり選んだ、何か不純な気持ちが入ってくるような気がします。
考えれば考えるほど難しいテーマであり、その答えは時代や動機、そして思い入れの強さなど様々な理由で流動的になってくると思われます。
何だかんだ言っても、私は14,5歳の時から洋楽を聴き始め、かれこれ50年、半世紀近くの実績?(何度も言いますが、聴くだけですから)がある訳ですから。
何度か整理・処分を繰り返したおびただしい数のレコードやCD。
その中から10枚を選ぶ。いや~、本当に悩ましい…。
さて、随分前置きが長くなってしまいましたが、いよいよ私が選んだ墓場の5枚(洋楽編)について発表したいと思います。
墓場の5枚(洋楽編)
1.シカゴ セカンド・アルバム「シカゴと23の誓い」
まず1枚目は、今年で結成53年を迎える今や「死語」となったブラス・ロック界の大御所、シカゴのセカンド・アルバム、「シカゴと23の誓い」です。
これは2枚組のアルバムで、アルバムの有名なシングル・ヒット曲は「長い夜」、「僕らに微笑みを」があります。特に「長い夜」は初期のシカゴの代名詞でもありました。
「シカゴ」については別の機会に触れたいと思いますが、はっきり言って私は「異常なシカゴ・ファン」です。
アルバム選択の理由など詳細、また「シカゴ」にまつわる様々な出来事については今回省略させて下さい。
「とにかく異常だ」と言う事で、シカゴについてはこの辺で…。
2.マロ セカンド・アルバム「DOS(ドス)」
「サンタナの弟が若干17歳で作ったバンド」との触れ込みで、デビュー作はそこそこ話題にもなりました。ジャンルは「ラテン・ブラス・ロック」です。
デビュー・アルバムからは「愛しのネナ」と言うスマシュ・ヒット、その後色々なラテンバンドにもカヴァーされた「スアベシート」と言うバラードも出ています。
随分後で分かった事ですが、「弟が作った」との話は売りたいがための戦略だったようで、「元々あったバンドに、サンタナの弟が当時参加していた」のが事実のようです。
彼はリード・ギターでした。1枚目はエキサイティングな密度の濃い好盤でした。文字通りの「ラテン・ブラス・ロック」です。しかし、ラテン・ラブ・バラードとして有名になった「スアベシート」も収録されていて、選んだ「DOS」と甲乙付けるのが中々大変でした。
「DOS」は最もラテン色が強いアルバムです。「乱舞するパーカッション、唸るホーン、泣き叫ぶギター」という感じで、楽器のソロパートも充実しています。
「DOS]以上の激しさや迫力、ノリが強いパワフルなアルバムには、洋楽を聴き始めて約半世紀、巡り合った事はないでしょう。「ラテン・ロック」としてのダイナミックさは、兄のバンド「サンタナ」以上だと思います。
立て続けに4枚のアルバムを出した「マロ」ですが、3枚目は多様なラテン系のリズムを使って、また4枚目は聴きやすさを優先にしたのか、軽めのラテン調ポップスが柱になっています。残念ながら、評価も低く、中途半端でした。
1枚目、2枚目の流れこそ彼らの王道のような気がします。
「マロ」はアナログ盤4枚で一応終了の様な形となりましたが、近年はCDでスタジオ録音やライブ盤が2~3枚で出ているようです。
とりあえず買ってみましたが、もう昔の様な熱のこもったサウンドは戻ってきません。
バンド自体は今も「マロ主義」で活動しているようです。YOUTUBEで見る事が出来ます。
「サンタナ弟」と言うと、解散後ソロとしてAOR系のアルバムを出したり、「マロ」のライブに客演として参加しているようです。
3.タワー・オブ・パワー セカンド・アルバム 「バンプシティ」
ベイエリア・ファンクの最高峰、タワー・オブ・パワーのセカンド・アルバムです。
このバンドも息の長いバンドで、結成して50年以上が経ちます。
私との初めての出会い、それは「ませたガキ」中学3年生の時でした。
これは今でもたまに聴くアルバムで、リード・ボーカルは「リック・スティーブンス」と言う人物です。
バンドの歴史が長いだけあって、リード・ボーカリストはよく変わりますが、私はリック・スティーブンスが歴代最高のシンガー‼と思っています。
彼はこのアルバム収録後に脱退してしまいますので彼の声はアルバムでしか聴く事が出来ません。脱退後、ソロシンガーとして、あるいはほかのバンドで歌ってないかと思い、探した時期もありました。
その後、彼には「死亡説」も流れたりしますが、「殺人を犯して収監されていた」との事です。出所後は「タワー・オブ・パワー」のライブに参加して、名曲の誉れ高い「ヤングマン」を歌う姿がYOUTUBEで見られます。
昨年も新しいアルバムを入手しましたが、数だけで言えば、私が「シカゴ」の次にアルバム持っているお気に入りのバンドです。
以上の3枚は、私にとって不動のアルバムです。
これらのアルバムは、いつどこで誰に尋ねられても即答出来る、『本当に墓に入れたいアルバム』です。
4.デオダート 「プレリュード」
さて4枚目ですが、現時点での選択はこれ。アルバムの1曲目に、デオダートで最も有名な曲「ツァラトゥストラはかく語りき」が収録されていますが、もしこのアルバムで好きな曲を挙げ、それに順番を付けるとしたら「ツァラトゥ…」は最後になるかもしれません。
実際2曲目から通して聴く事が多かったのです。
「ツァラトゥ…」が決して嫌いな訳ではありません。他の曲が好きなだけです。
その後、彼のアルバムは2枚買いました。その他はほとんど借りて聴きましたし、ベスト盤のCDや初期の復刻版CDも持っています。
結局、「何かしながらのBGM」になってしまうのでしょうが、邪魔にならない音楽、「グッド・ミュージック」として、欠かす事のできない音楽だと思います。
一時「俺にはラテンの血が流れている」と思ったほど、ラテンやボサノバの雰囲気を感じさせるサウンドが好きでした。
デオダートはブラジル出身だけあって私のツボにドンピシャです。
さて、その繋がりと言えるのかも知れませんが、次はボサノバが来ます。
5.アントニオ・カルロス・ジョビン 「WAVE(波)」
ジャケットは草原を駆けるキリンの写真に赤のフィルターを掛けた(緑色もある)もので爽やかな雰囲気に溢れています。
「ボサノバ」から、ブラジルやビーチを連想してしまう、己のイメージの貧困さを反省します。
当然、買うに当たっては目的になる曲があり、それが「WAVE(波)」でした。
高校生の時から、曲のタイトルは分からずじまいだったものの、NHKのFM放送で流れるテーマソングが断然、圧倒的に好きでしたが、結局曲のタイトルが「WAVE(波)」だと分かったのはそれから20年後程後の事です。
アルバム自体は2分後半の曲が多く、たまに流れるボーカルはあくまでも優しく、聴き方によっては心もとない脱力感に溢れるものでしたが、それこそが「ボサノバ」。
そのサウンドは、私の心を癒すのに十分でした。
「夏はやっぱりボサノバがいいな。やっぱジョビンだな…」
結局冬でも聴いていますが…。
最後に
以上、『墓場の10枚』いや、『墓場の5枚』を選んでみました。
もし、6枚目を挙げるとしたら何が来るのでしょう。
実は私、「プログレ」も結構好きなんです。特にピーター・ガブリエル在籍時の「ジェネシス」。高校の修学旅行で帰ってきたその日、残ったお小遣いで「月影の騎士」を買いました。5枚目をこれにしようか迷ったぐらいです。
さて『墓場の10枚』、皆さんならどのアルバムを選びますか?
それでは、この辺で話はお開きと言う事で…
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※伊勢太郎の父はかく語りきシリーズは、不定期の投稿となります。