「白い恋人」のCMソング『シルバー・スイート・ハート』/父はかく語りき
~伊勢太郎の父はかく語りきシリーズvol.11~
こんにちは、make me smileです。今から40年ほど前の昔話です。
空港の売店でよく目にする北海道銘菓に、石屋製菓の『白い恋人』と言う名前のお菓子があります。
ホワイト・チョコを挟んだ5㎝四方のクッキーです。
今ではCMソングなど流さなくとも一定の売り上げはあるのでしょうが、私が20代半ばの頃には盛んにTVでコマーシャルが流れていました。
記憶が正しければ、北海道銘菓『白い恋人』がTVで初めて流したCMソングが、今回取り上げた「シルバー・スイート・ハート」だったと思います。
スキー場をバックに繰り広げられ、10秒にも満たない「スキー場を背景にした男女の子芝居」ですが、曲のサビが流れ、最後に『シロイコイビト~』と歌って締めます。
そのサビ部分が、私のツボに見事にはまったのでした。
1979年に発売された『シルバー・スイート・ハート』、歌っているのは山本寛太郎です。
当時は、レコード盤を探して買うまでの執念も所有欲もなく、そのまま時は流れていきました。
CMも新しいシリーズに変わり、「あんなCM(曲)あったなあ」と私の思い出す程度。
私の中ではそっと幕を引く程度でした。
それから何年か後、社会人になった私が高校の同級生宅に遊びに行った時の話です。
友達が「何か聴きたいのがあったら持って行っていいよ」と、ほとんど聴かなくなったレコードを数枚出してきました。
どちらかと言うと、沢田研二やアリスなどの歌謡曲やフォーク、石野真子や河合奈保子(懐かしいでしょう)などのアイドル歌手が守備範囲の友人であり、私の音楽的趣味とはそれほどマッチしませんでしたが一応チェックだけはさせてもらいました。
しかし
あったのです。聴きたかったあの懐かしい曲が……!
タイトルだけではわからなかったかもしれません。おまけに知らない歌手名でした。
しかしジャケットの右下隅には小さく『白い恋人』と記載があり、歌詞カードを読むと何となく聞き覚えのあるような歌詞が…。多分、恐らく、間違いなくあの歌でしょう。
友達は「いいよ、もう聴かないからあげるよ」と言ってくれました。
心の中で「お宝ゲット‼」とガッツポーズ…。
私は家に帰って、初めてこの曲を最初から最後まで聴く事が出来たのです。
もちろんサビの部分を中心に馴染みのある曲ではありましたが、改めて歌詞を読み、全篇通してメロディを聴いてみると、これがなかなかの優れモノ。
完全な物語、ストーリーになっています。
片思いの切ない女心、ゲレンデに咲く淡い恋の花…
ああ、いい歌…
あまり詳しく書くと著作法に触れますので、歌詞の要点だけお話します。
雪に心奪われ シュプールを描くあなた
春になる前にセーターを編んであげるわ
私の愛を編んであげるわ
ああ、あなたの心を包む糸になりたい
まあ、大体こんな内容の詩です。
私は生まれも育ちも北海道。生粋の「道産子」です。
しかし、スキーは2回しか経験(それも高校の授業)がありません。
でも情景は浮かびます…。
当時はきっとあちらこちらのスキー場でこの曲が流れていたんだろうな。
いや
俺がスキー場の係員なら
間違いなく流すな
山本寛太郎…詳しくは分かりませんが、この曲は作詞・作曲とも本人で、シンガー・ソングライターだったようです。
その後、音楽業界からは完全に足を洗って、現在はフィッシング・ギア(ルアーなど)の開発や販売を行う会社の社長になっているそうです。
以前、レコードからCD(アナログ音源からデジタル)を作るコンポを持っていました。
この曲もデジタル化し、一応CDは作成してあります。
しかし、当時の録音技術の未熟さから、音圧が低く、今聴くと物足りません。
一 昨年末デジタル音源でこの曲を購入してみようと「amazommpデジタル・ミュージック」で検索しましたが、『倉橋ルイ』という女性歌手が歌っているのがあるだけでした。
倉橋バージョン、一応一部視聴して買ってはみたものの、テンポが遅すぎてオリジナルと程遠い。私は耐えられません。一度聴いただけですが、恐らく2度目はないでしょう。
Amazonの曲のレビューでは、「本当に失礼極まりない」内容を書いてしまいました。
世界中どこを探しても、正式にデジタル化された音源はないのですね。
現在オリジナルはYOUTUBEで聴く事(1番組のみ)ができます。
ちなみにレコードの歌詞カード面に「企画:(株)りぼん」「制作:(株)なかよしグループ」「山本寛太郎 問い合わせ先:(株)りぼん」と書いてありました。
確か「りぼん」って少女漫画雑誌でしょうかね。そういえば『なかよし』っていうのもあったような……。私の妹が小学生の時によく読んでいました。
『シルバー・スイート・ハート』、この曲はイチCMソングとしての域を超え、あのおじさん泣かせの「木綿のハンカチーフ:太田裕美」に勝るとも劣らない名曲だと思います(太田裕美ファンと言う訳ではありませんが、完全に「木綿のハンカチーフ」の世代であり、この曲が最も好きな邦楽だからかもしれません)。
この曲『シルバー・スイート・ハート』、残念ながらヒットはしませんでした。
良い歌だからヒットする訳でもないし、ヒット曲が良い歌だと言えるわけでもない。
人それぞれ、琴線に触れる名曲があるのだ
それでいいのだ
と思います。
ちなみに、あの吉本興業が大阪土産に「面白い恋人」と言うネーミングで、お菓子を発売した事がありました。
その後裁判沙汰(原告は石屋製菓、被告はもちろん吉本興業)にもなりましたが、結局和解し、両社でコラボ商品を発売したようです。
それでは、今回の話はこの辺でお開きと言う事で…
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※伊勢太郎の父はかく語りきシリーズは不定期の投稿となります。