柿の種を拾い集めるように

料理と音楽、たまに科学

キャロル・キングの「君は友だち」とトワ・エ・モワの「友達ならば」/父はかく語りき

~伊勢太郎の父はかく語りきシリーズvol.14~

 

 

 

こんにちは、make me smeilです。

色々な音楽を聴いていますと「何となく似ている曲」って結構あるものです。

音楽的にどこがどのように似ているか、具体的な説明はほとんどできず、ただ「雰囲気が似ている」なんて、あやふやで主観的な言い方しかできなかったりして…。

 

 

刑事ドラマなら「それはあなたの想像ですよね。証拠はあるんですか?証拠は…」

 

 

コード進行による証拠、音符による証拠など、具体的な酷似性を何一つ立証できるわけでもないのに(する気もないですが…)、雰囲気が似ている、何となくパクリの臭いがするなんてイチャモンを付けられても困りますよね。

 

 

まあ今回のブログテーマであり、あくまでも話のネタの一つであると言う事でどうかご勘弁ください。

 

 

 

有名曲、ヒット曲には印象的なフレーズってありますが、

それが完全なパクリであればちょっと問題なのかもしれません。

 

 

そっくりそのままイントロが使われたのが、私の好きなスティーリー・ダン「リキの電話番号」です。

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原曲はジャズの名曲「SONG FOR MY FATHER」、ホレス・シルヴァーの代表曲です。「リキの電話番号」では、「SONG FOR…」のイントロのピアノのリフがそっくりそのまま再現され、それは何の違和感もないまま曲の一部として消化されています。

 

ホレス・シルヴァーの方が先に作っているので、スティーリー・ダンの完全な「パクリ」には違いないのですが、堂々とパクって大ヒット。

 

この曲は、原曲に対する「リスペクト」とも言えるでしょう。

 

既に、世界中が認めた曲になっているんですから。

 

ちなみに、盗作された当の本人(ホレス・シルヴァー)がなんと言っているかは知りませんが…。

 

 

 

 

以前大ヒットした「奇跡の地球」という曲があります。

サザン桑田佳祐が作詞・作曲し、ミスチル桜井和寿とデュエットした曲です。

私がこの歌を初めて聴いた時、どこかで聞いた曲だなと思いました。

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それは、当時発売されていた私の大好きなシカゴのクリスマス・アルバム「シカゴ25」の中にありました。

 

一般的にはあまり知られていない歌だと思いますが、古くからイギリスに伝わるクリスマス・ソングに「GOD REST YE MERRY,GENTLEMAN/邦題 ともによろこびすごせ」があります。

 

「奇跡の地球」はこの曲に似ています。歌の導入部から似ています。

どこが似ているかと言えば「雰囲気が似ている」しか言いようがありません。

 

 

言葉は悪いですが「パクったんじゃないか」と思いました笑

 

しかしその後、何年経ってもインターネット等どこにも私と同様の感想を書き込んでいる人はおらず、「こんな風に感じたの、俺だけなのかな…」と我が耳、我が感性を疑ったりしましたけど……。

 

 

そのうちブログテーマになるかもしれませんが、私は「クリスマス・ソング」が好きで、年に2~3枚は新しいアルバムを入手し、11月位からクリスマス・ソングを中心に、12月25日まで聴き続けます。毎年このスタイルを続けてから、10年以上にはなると思います。

 

 

本題は、昔の曲になります。

 

「君の友だち」と言う曲を聞いたことがあるでしょうか。

 

元々はキャロル・キングと言う有名な女性シンガーの曲で、作られてから30人以上の歌手がカヴァーをしている超有名な楽曲です。オリジナルはピアノをメインとして、淡々と歌い上げられている歌で、決して壮大でドラマチックな曲ではありません。

 

しかし、その歌詞の内容と言えば深い物があると思います。

ただ漠然と聞き流せない、考えさせられる内容です。

 

歌い手の性別によって、聴き手の気持ちは変わりますが、詩の主人公を男性としてとらえるか、女性としてとらえるか。

 

詩の中の相手は男性なのか、女性なのか。そして友情ととらえていいのか、いや愛情なのか。

 

問うて行けば行くほど、奥の深さを感じます。

 

ある意味、崇高。

ある意味、一方的で偏執的。

 

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本家、キャロル・キングの歌唱は、アルバム「つづれおり」の中で聴く事が出来ますが、私が持っているのは、シングルカットされ大ヒットした「ジェイムス・テーラー盤」です。

 

 

著作権の問題で歌詞の全文を詳細に説明しません。ここでは要約して紹介します。

 

落ち込んで苦しい時

思いやりが欲しい時

何もかもうまくいかない時

目を閉じて私の事を思い出して

すぐあなたの所へ行くわ

暗い夜でさえ明るくしてあげるわ

ただ私の名前を呼べばいいの

あなたに会いに行くわ

たとえ冬でも 春でも 夏でも そして秋でも

呼びさえすればいいの

私はそこにいるわ

あなたには友達がいる

 

「君の友だち」はこんな内容で歌われます。

 

そして、この「君の友だち」「何となく雰囲気が似ている」どころか、

洋盤「君の友だち」に対し「邦版」はこの曲ではないかと思われる曲があります。

 

それが「トワ・エ・モワ」が歌う「友達ならば」です。

 

「トワ・エ・モワ」と言えば、札幌冬季オリンピックのテーマ「虹と雪のバラード」、デビューヒットの「或る日突然」「空よ」「誰もいない海」などのヒットでお馴染みだったデュオです。

 

 

真面目で清潔感溢れるイメージで、NHKあたりが好んで歌番組に出演させるお二人です。

「友達ならば」は1972年にスマッシュ・ヒット(大ヒットではない)した曲。

 

何が似ているのか、私には音楽の技術面から分析した説明はできません。

 

 

ただ歌詞の論旨

言わんとするところが

「君の友だち」と全く同じです。

 

 

「私はあなたの友だち。私は味方。私を呼んで。すぐに飛んで行こう」

 

 

歌詞は山上路夫

一部だけですが、歌詞を紹介します。

 

もしも涙が止まらない時は

いつも私がいることを思い出して

生きることがつらい朝がきたら

すぐに呼んでよ

あなたの元へ私は急いでいくでしょう

二人は友達なら

すぐに飛んで行こう

世界に風が吹き荒れ

明日が消えても

あなたと生きて行こう

いつも いつも いつも

 

 

作曲・編曲は川口真です。

 

「君の友だち」、「友達ならば」、両曲とも素晴らしい曲です。

ブログ上で聴き比べていただけないのが残念ですが、YOUTUBEにありまあすのでそちらで聴いてください。

 

同じような感想をお持ちの方が、インターネットに書き込みしていないかどうか探してみたところ、18年前に「5ちゃんねる」へ書き込んでいる方がいました。

 

 

「友達ならば」すごく好きです。でも歌詞はユーガッタフレンズのパクリですね。

※「ユーガッタフレンズ」とは「君の友だち」の英語タイトルです。

 

 

という書き込みがありました。

 

少なくとも、メロディにパクった箇所がある訳ではありませんし、歌詞の中にも真似た箇所がある訳ではありません。

 

英語を意訳すると近い所があるかもしれませんが…。

 

どちらの曲も、取り上げたテーマは「友達」です。

 

究極の友情

無償の友情

を形にするとこのようになるのでしょうか。

 

近い気持ちがあったとしても、相手が重荷に感じてしまうかもしれません。

いざ言葉に出して伝えるには、ちょっと躊躇してしまう文言かもしれませんね。

 

 

あなたの人生において

このように思える「友達」がいましたか?

 

 

あくまでも「歌の世界の出来事」という」解釈で良いんでしょうね。

 

 

それでは、この辺で今回はお開きと言う事で…。

 

 

 

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※伊勢太郎の父はかく語りきシリーズは不定期の投稿となります。

 

 

エンゲルベルト・フンパーディンクとカラオケ/父はかく語りき

~伊勢太郎の父はかく語りきシリーズvol.12~

 

 

 

こんにちは、make me smileです。

 

今回はタイトルの通り、2本立てで行きたいと思います。

まず1本目のお題。例によって古い話です。と言うか「古い人物」の話です。

 

エンゲルベルト・フンパーディンク」をご存じでしょうか。

 

「一体誰?」と思う方もいらっしゃると思いますが、その昔、音楽業界で一世を風靡した「シンガー」であり「エンターテイナー」です。

60代・70代、高齢で音楽好きの方ならご存知かと思います。

 

手元にある、1968年発売(古すぎ)のシングル・レコード盤(古すぎ)「ラスト・ワルツ」(古すぎ)の解説によると、彼は1963年生まれとなっていますので、御年84歳の「完全な爺様」になる訳です。

 

 

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初めて彼の存在を知ったのは確か中学生だったかな…(記憶が相当あやふや)。今から50年ほど前になるでしょうか。

 

TVで毎週土曜の午後11時から(やはりあやふや)「トム・ジョーンズ&エンゲルベルト・フンパーディンクショー」なる30分番組がありました。

「トム・ジョーンズ」は知っていましたが、(ヒット曲「ラブ・ミー・トゥナイト」や「思い出のグリーン・グラス」で)、「エンゲルベルト・フンパーディンク」は全く聞いたことのない名前でした。

 

『ややこしい長い名前のオッサン』程度の認識で、番組を毎週見ていたのですが、その歌声やパフォーマンスは徐々に私の音楽心を魅了していったのです。

 

トム・ジョーンズに勝るとも劣らない圧倒的な歌唱力、その華麗なダンス・パフォーマンスには圧倒され、ある意味「憧れ」すら感じました。

 

もし僕が歌手になったとしたら、

あんな声であんな風に歌いたいなあ…

 

もちろん、今でもそんな気持ちです。

 

ちなみに「憧れの声質」には、もう一人のアーティストがいます。

そのアーティストについては、改めて別の機会にお話しする事にします。

 

 

 

その昔、私がまだ現役バリバリのサラリーマンだった頃、恐れ多くもカラオケで「ラスト・ワルツ」、「いそしぎ」、「太陽は燃えている」など、彼のヒット曲を歌ってしまいました。

恥ずかしさのかけらもなく、すっかりその気になっていい気分で歌ったものです笑。

 

私は、高校生の時から現在に至るまで、彼のアルバムやカセット・テープ、そして時代がレコードからCDに変わればCDと、結構買い集めています。

 

数年前には廉価版のライブDVDを入手しました。

50~60代の時のライブらしく、その表情には程良い年輪が感じられます。

 

にもかかわらず

初老にも関わらず軽やかに踏む華麗なステップと

昔と変わらぬ声量

そして心をくすぐる「ベルベット・ボイス」

もはや永遠です

 

 

 

シナトラ、プレスリーは言うまでもないビッグスターであり、誰もが知るところ。

もちろん彼らも好きなアーティストだということには間違いないのですが、私にとって『ややこしい名のオッサン』は完全に格別で、私の中では彼を超えるアーティストはいません。

 

 

先日、YOUTUBEで恐らく80歳に近いであろう彼の動画を観ました。

全盛期に比べると、当然衰えは隠せません」。昔とは違う、完全な「爺様」。

 

でも彼の様な「ジェントルで、エネルギッシュなエンターテイナー」は今後も現れることは無いでしょう…2度と…

 

 

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多少、カラオケの話が出たところで2つ目の話題に移ることにします。

 

私が中高の時に夢中になって聴いていたのは、もちろん圧倒的に洋楽が多かったのですが、中学生の時「内山田洋とクールファイブ」にはまった時期がありました。

 

 

多分、私の母親の趣味だと思いますが、我が家には「クールファイブ」の2枚組の実況録音盤がありました。

 

今は「ライブ盤」と言うのでしょうが、当時はそのような呼び方は一般的ではありませんでした。

 

会場で録音され、レコードになったもの→実況録音盤

コンサート→実演

 

と呼ばれていました(今それを言ったら恐らく笑われますね)。

 

私はそれを結構頻繁に聴いていたため、司会者の曲紹介やメンバーのトーク、次に何を喋るかまで完全コピーして覚えていたような気がします(まさに自己満…)。

 

その影響でクールファイブ初期のヒット曲は全て「前川清のモノマネ風」に口ずさむことができましたし、社会人となりカラオケに行っても「困った時のクールファイブ」でした。昔の事なので接待が多かったのですが、上司から歌うように言われても選曲に悩む事もなく、客を待たす事もなく、おまけに司会者よろしく実況録音で覚えた「歌の紹介」まで付けて歌ったものです。

これは母に感謝かもしれません。

 

 

結局、私自ら購入したクールファイブの音源は20年ほど前、30曲近く収録されているカセット・テープだけでした。

4~5年前にベスト盤のCDをレンタルした事があり、それは今でも年1~2回は聴きます。

 

私が社会人になった時は、ちょうどカラオケが流行り始めた頃とじきを同じくしています。

まず「8トラ」と呼ばれたカラオケ・システムでした。

ピンとこない方がいるかもしれませんが、分厚い巨大な「8トラック」のテープを「ガシャッ」と入れます。

カセット・テープではありませんよ。

曲数も限られていたように思います。

 

この8トラックの再生装置は我が家にもありました。

ギターのミニ・アンプほどあったような記憶。結構デカかったかな。

 

その後、レーザー・ディスクやカラオケ屋さんが運営する今のシステム「リモコンによるカラオケ」が導入されます。

 

スナックや飲み屋で歌う時には、聴きたくもない他人の下手な歌も聞かなければなりません。オマケに歌の終了時には、心にもない拍手までして……。

 

今でこそ気の合った仲間同士の「ボックス」や「一人カラオケ」など、心行くまで歌うことが出来ます。

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最近TVでカラオケの採点方式(音程やビブラートなどの点数による評価)を利用した、素人の集まった「カラオケ選手権」のような番組をよく観ます。

 

稀にプロが出演する回もあるようですが、私にとっては「悲しくて残念な番組」でしかありません。

 

司会の境正章が「さあ、得点は…何点、何点」と言う番組です(女房が好きで観ています)。

誰もが自由に歌えるシステムが出来上がった世の中です。

素人を出演させ、カラオケの点数で勝敗を競わせる。

審査員の様な芸能人達が素人の歌に「うまい、感動した」と目を潤ませる…。

 

私には「素人の歌合戦。安いお手軽な番組だな」と、最後まで観たことはありません。

某公共放送の「のど自慢」の方が数段マシです。

 

点数では歌に甲乙を付けられません。

当然、番組の制作者もそれは分かっている事。

 

素人同士が競い合い、機械の点数で優劣を決定する。

歌でプロ歌手に優劣を付ける訳にはいかない。営業的にも問題が生じる。

 しかし素人同士だとその心配はない。素人なので真剣にやってくれるしリアクションも期待できるだろう。映像的にも面白い。

 

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素人メインの番組です。恐らく出演料など経費的にも安く済むでしょうし、プロ同士では成立しない企画だと思います。

 

私が思うに

本当の歌とは

本当の歌手とは

決して機械や点数で計れる物ではない

と確信しています。

 

あくまでも個人の見解ですので「観たい人は観る、観たくない人は観ない」で良いと思います。

 

カラオケがらみの話題を2題書きましたが、今回はこの辺でお開きです。

 

 

 

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※伊勢太郎の父はかく語りきシリーズは不定期の投稿となります。

「白い恋人」のCMソング『シルバー・スイート・ハート』/父はかく語りき

~伊勢太郎の父はかく語りきシリーズvol.11~

 

 

 

こんにちは、make me smileです。今から40年ほど前の昔話です。

 

 

空港の売店でよく目にする北海道銘菓に、石屋製菓の『白い恋人』と言う名前のお菓子があります。

 

ホワイト・チョコを挟んだ5㎝四方のクッキーです。

 

今ではCMソングなど流さなくとも一定の売り上げはあるのでしょうが、私が20代半ばの頃には盛んにTVでコマーシャルが流れていました。

 

記憶が正しければ、北海道銘菓『白い恋人』がTVで初めて流したCMソングが、今回取り上げた「シルバー・スイート・ハート」だったと思います。

 

スキー場をバックに繰り広げられ、10秒にも満たない「スキー場を背景にした男女の子芝居」ですが、曲のサビが流れ、最後に『シロイコイビト~』と歌って締めます。

そのサビ部分が、私のツボに見事にはまったのでした。

 

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1979年に発売された『シルバー・スイート・ハート』、歌っているのは山本寛太郎です。

 

当時は、レコード盤を探して買うまでの執念も所有欲もなく、そのまま時は流れていきました。

CMも新しいシリーズに変わり、「あんなCM(曲)あったなあ」と私の思い出す程度。

私の中ではそっと幕を引く程度でした。

 

 

それから何年か後、社会人になった私が高校の同級生宅に遊びに行った時の話です。

 

 

友達が「何か聴きたいのがあったら持って行っていいよ」と、ほとんど聴かなくなったレコードを数枚出してきました。

どちらかと言うと、沢田研二やアリスなどの歌謡曲やフォーク、石野真子や河合奈保子(懐かしいでしょう)などのアイドル歌手が守備範囲の友人であり、私の音楽的趣味とはそれほどマッチしませんでしたが一応チェックだけはさせてもらいました。

 

 

しかし

 

あったのです。聴きたかったあの懐かしい曲が……!

 

 

タイトルだけではわからなかったかもしれません。おまけに知らない歌手名でした。

しかしジャケットの右下隅には小さく『白い恋人』と記載があり、歌詞カードを読むと何となく聞き覚えのあるような歌詞が…。多分、恐らく、間違いなくあの歌でしょう。

 

友達は「いいよ、もう聴かないからあげるよ」と言ってくれました。

心の中で「お宝ゲット‼」とガッツポーズ…。

 

 

私は家に帰って、初めてこの曲を最初から最後まで聴く事が出来たのです。

 

 

もちろんサビの部分を中心に馴染みのある曲ではありましたが、改めて歌詞を読み、全篇通してメロディを聴いてみると、これがなかなかの優れモノ。

完全な物語、ストーリーになっています。

 

 

片思いの切ない女心、ゲレンデに咲く淡い恋の花…

ああ、いい歌…

 

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あまり詳しく書くと著作法に触れますので、歌詞の要点だけお話します。

 

 

雪に心奪われ シュプールを描くあなた

 

  春になる前にセーターを編んであげるわ

 

    私の愛を編んであげるわ

 

      ああ、あなたの心を包む糸になりたい

 

 

まあ、大体こんな内容の詩です。

私は生まれも育ちも北海道。生粋の「道産子」です。

しかし、スキーは2回しか経験(それも高校の授業)がありません。

 

でも情景は浮かびます…。

当時はきっとあちらこちらのスキー場でこの曲が流れていたんだろうな。

 

 

いや

俺がスキー場の係員なら

間違いなく流すな

 

 

山本寛太郎…詳しくは分かりませんが、この曲は作詞・作曲とも本人で、シンガー・ソングライターだったようです。

 

その後、音楽業界からは完全に足を洗って、現在はフィッシング・ギア(ルアーなど)の開発や販売を行う会社の社長になっているそうです。

 

以前、レコードからCD(アナログ音源からデジタル)を作るコンポを持っていました。

この曲もデジタル化し、一応CDは作成してあります。

しかし、当時の録音技術の未熟さから、音圧が低く、今聴くと物足りません。

 

 

 

一 昨年末デジタル音源でこの曲を購入してみようと「amazommpデジタル・ミュージック」で検索しましたが、『倉橋ルイ』という女性歌手が歌っているのがあるだけでした。

 

倉橋バージョン、一応一部視聴して買ってはみたものの、テンポが遅すぎてオリジナルと程遠い。私は耐えられません。一度聴いただけですが、恐らく2度目はないでしょう。

 

Amazonの曲のレビューでは、「本当に失礼極まりない」内容を書いてしまいました。

 

 

世界中どこを探しても、正式にデジタル化された音源はないのですね。

現在オリジナルはYOUTUBEで聴く事(1番組のみ)ができます。

 

 

ちなみにレコードの歌詞カード面に「企画:(株)りぼん」「制作:(株)なかよしグループ」「山本寛太郎 問い合わせ先:(株)りぼん」と書いてありました。

 

確か「りぼん」って少女漫画雑誌でしょうかね。そういえば『なかよし』っていうのもあったような……。私の妹が小学生の時によく読んでいました。

 

 

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シルバー・スイート・ハート、この曲はイチCMソングとしての域を超え、あのおじさん泣かせの「木綿のハンカチーフ:太田裕美」に勝るとも劣らない名曲だと思います(太田裕美ファンと言う訳ではありませんが、完全に「木綿のハンカチーフ」の世代であり、この曲が最も好きな邦楽だからかもしれません)。

 

 

この曲『シルバー・スイート・ハート』、残念ながらヒットはしませんでした。

良い歌だからヒットする訳でもないし、ヒット曲が良い歌だと言えるわけでもない。

 

人それぞれ、琴線に触れる名曲があるのだ

それでいいのだ

 

と思います。

 

ちなみに、あの吉本興業が大阪土産に「面白い恋人」と言うネーミングで、お菓子を発売した事がありました。

その後裁判沙汰(原告は石屋製菓、被告はもちろん吉本興業)にもなりましたが、結局和解し、両社でコラボ商品を発売したようです。

 

 

それでは、今回の話はこの辺でお開きと言う事で…

 

 

 

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※伊勢太郎の父はかく語りきシリーズは不定期の投稿となります。

 

修学旅行とジェネシス、スティーリー・ダン/父はかく語りき

~伊勢太郎の父はかく語りvol.10~

 

 

こんにちは、make me smileです。

 

一見、何のつながりもないようなタイトルですが、これは

修学旅行から戻って来た日、ジェネシスとスティーリー・ダンのアルバムを買いに出かけた

と言うことです。

 

 

全てが「一日のズレ」でした。

実際、帰ってきたのは翌日、買ったのも翌日です。

何故そうなったのかお話します。

 

今から約45年前、高校の修学旅行へ行きました。

正しくは見学旅行だという物らしいのですが、それは60歳を過ぎて知りました。

正確な日時はもう記憶にありませんが1週間くらいの日程で京都・奈良方面へ行ったと思います。

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あの時代、まだ飛行機なんてとんでもない話で、津軽海峡は連絡船で渡り、青森からは寝台車で東京へ行きました。お金持ち私立は別として……。

 

行きか帰りに新幹線の窓から富士山を見た記憶があり、それが思い違いだったかどうかは今年の正月、高校の仲間との新年会で確認できました。

私の記憶はあっていたようです。

 

私の高校は商業高校で、一学年女子が200人に対して男子が20人の学校でした。旅行中に女子高に間違えられたこともあります。

話がそれますので詳しくは書きませんが、色々あって

男子全員半日の外出禁止

旅館の便所掃除の罰

を受けたなど、話題と思い出に事欠かない旅行でした。

 

追い打ちをかけるように帰りの列車が大幅に遅れ(ストの影響?)連絡船が一便ずれたため、予定より10時間以上も到着時刻が遅れる始末。

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地元駅に帰着後男子全員でステーキを食べる予定も、その後にレコードショップによる予定もすべてお流れ泣。

 

何せ夜の6時に着く予定が、翌朝の6時に着いたのですから…

 

帰りは鈍行の夜行列車でしたので、ほとんど寝ていませんでした。

とりあえず、家に帰って爆睡。その日の午後から一人でレコード屋に向かいました。

 

旅行の残金でレコードを買うことは旅行へ行く前から決めていました。

 

 

ジェネシスは音楽雑誌の書評で、スティーリー・ダンは旅行出発前、実際に聴いた上で決めた事です。

 

 

 

私が買う予定だったスティーリー・ダンの最新アルバムはプリッツェル・ロジックと言うタイトルのアルバムで、聴いたと言うのはシングルカットされた「リキの電話番号」です。

この曲を始めて聞いた時の情景は、何故か鮮明に覚えています。

 

 

ある日の夕方、西日の暖かい光を半開きのカーテンの外側から感じながら、ステレオのFMラジオから流れる音楽…。

印象的なイントロに始まるねちっこい個性的な歌声。

そしてサビを聴いた時に思いました。

 

あっ、欲しい。これ買わなくちゃ

 

 

 

 曲のタイトルを聴いた時、すぐ頭に浮かんだのは「力道山:リキドウザン」のロングタイツ姿(古すぎ…実は小学生の時から熱烈なプロレス・ファン。G・馬場さんとA・猪木、坂口征二の身体にペタペタ触りました。5回は観に行っています…)。

 

 「プリッツェル・ロジック」を手に入れた私は、家に帰って早速レコードに針を落とした訳ですが、このアルバムは今でも好きなアルバムです。

 

 捨て曲無しなので、何度でも通して聴きます。好盤です

 

この後に、セカンド、ファーストと遡ってアルバムを買いましたが、4枚目あたりからバンドは事実上崩壊します。

 

結成当初は6人いたメンバーも2人組デュオになって、有名なスタジオ・ミュージシャンの参加によるレコーディングとなります。

 

そして5枚目、「彩(エイジャ)」の大ヒットにより、スタジオ・レコーンディング専門の、妙に玄人に受ける特別な2人組として、音楽界で扱われるようになります。

 

私は4枚目以降、もちろん5枚目の「彩(エイジャ)」も買いませんでした。

ベスト盤を買い4枚目以降の主な楽曲を聴いてはいますが、ほとんど魅力を感じません。

私の中のスティーリー・ダンは3枚のアルバムで終了した過去のバンドとなっています。

 

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 同時に買ったのはジェネシスの「月影の騎士/セリング・イングランド・バイ・ザ・パウンドです。これは見事に期待に応えてくれたアルバムでした。

 

ジェネシスのの名前は知っていましたが、聴く機会がないまま時が経っていました。

何より、リード・ボーカルのピーター・ガブリエルが派手なメイクをしたり、キツネ?のお面をかぶっている写真を見ていたので、受けた印象はあまり良くないまま遠ざけていたところもありました。

 

ただやはり、音楽専門誌でジェネシスのこのアルバムが絶賛されていたので、ちょっと気になり聴いてみようかなと思い買うことにした訳です。

 

当時の私にとって「ミュージックライフ誌」が唯一洋楽アーティストの情報入手の材料だったので「写真を見たので遠ざけた」「書評が高評価になっていた」とか両極端です。良い・悪いを行ったり来たり

 

友人が持っていれば借りて聴くとか、ラジオなどで流れた音を聴く以外は「専門誌」の批評を読むとか、自分を信じ、身銭を切って買うしかない訳です。

 

 

 

聴いた順序、買った順序など、時系列の正しい記憶は欠落していますが、俗に言う「プログレ」(プログレッシブ・ロック)は高校の時に好きだったジャンルです。

 

キング・クリムゾン

ムーディー・ブルース

ピンク・フロイド

エマーソン・レイク&パーマー

バークレー・ジェイムス・ハーベスト

PFM

キャメル

キャラバン

ソフト・マシーン

ゴング等々…

 

随分色々なアーティストを聴きましたし、それぞれに思い出があります。

マニアックな所ではマクドナルド&ジャイルス

あまりにも穏やかで、途中で眠ってしまいました……。

 

ジェネシスはピーター・ガブリエルがボーカルで在籍していた頃が好きでした。

ガブリエル脱退後、フィル・コリンズがボーカルになりましたが、それと同時に聴く事はなくなりました。

 

確かその後に買ったジェネシスの2枚組「眩惑のブロードウェイ」だったと思いますが、レコードの帯に書いてあった言葉は、その後も何かの機会に何度か私的に使わせてもらいました。まだ覚えています。

 

ジェネシスの音楽を

精神の糧、肉体の肥やし

と表現した文言です。

 

 

名言だと思います。ジェネシスに限らず、まさに全ての音楽について言えるのではないでしょうか。

 

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音楽を聴いて

元気が出た

感動した

涙が出た

一緒に歌った

踊った…

 

 全てが、

人生、明日への糧(かて)であり、肥やしになること

間違いないと思います。

 

 

 

今はプログレをほとんど聴きません。聴いても、何か別の事をしながら、完全に流してBGM扱いです。

若い時は、きっと自分にはまだ明るい未来があり時間もあると思っていたのでしょう。

だからこそゆっくりと集中したレコードの聴き方が出来たのです。

 

しかし残念ながら、今の自分にはそんなに集中して音楽を聴くような余裕があるとは思っていません。

 

最近のCDの買い方を振り返ると

80年代は良くて前半まで

まず90年代以降のものは皆無です。

60年代終盤からと、最も多いのが70年代に出たアルバムです。

 

聴いたことがある昔の歌、古い歌。そしてじっくり聴いたことのないアルバムを改めて聴く。今一度脳裏に刻み込んでおきたい……。

だから昔の話しかできないのでしょう笑

 

 年相応の音楽の聴き方、楽しみ方はそれぞれあると思います。

 

私は聴く専門としての音楽人生を、これからも熱く送りたいと思っています。

 

 

話が大きくなりましたが、この辺でお開きに致します。

 

 

 

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※伊勢太郎の父はかく語りきシリーズは不定期の投稿となります。

「ザナドゥ」と「グライド・イン・ブルー」/父はかく語りき

~伊勢太郎の父はかく語りきvol.9~

 

 

こんにちは、make me smileです。

 

今回は映画の話を2題。ともに音楽がらみの話です。

 

さて、私は映画が大好きです。

 

物心ついた時から映画好きの父に連れられ、東映の時代劇やヤクザ映画、日活の無国籍アクション、大映の市川雷蔵や勝新、月に2~3回のペースで映画館に行っていました。とにかく頻繁に通っていました

 

小学生になると一人で東宝のゴジラ、大映のガメラや大魔神、東映マンガ祭のアニメなど、映画三昧の幼少期だったと思います。

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高校の時は空手映画全盛期

「燃えよ、ドラゴン」は学校を休んでわざわざ空いている平日に行きました。

 

私は10歳くらいまで中心街に住んでおり、近所に7~8軒の映画館がありました。今では信じられませんが、昭和30年~40年代の前半、映画産業は賑わっていました…。

 

 

さすがに現在は頻繁に映画館へ通うことは出来ませんので、もっぱらスカパーの映画チャンネルやレンタルDVDなど、TVで観る事が多くなります。

 

どうしても手元に置きたくなる映画、忘れられない映画は通販でDVDを買い、いつでも観られるようにしていますが、割合でいうと洋画8割、邦画2割というところでしょうか。

 

 

さて本題です。

あえて「最低・最悪」と専門家から酷評を受けたミュージカル映画を、DVDで買ったことがあります。

 

それはオリビア・ニュートンジョンが主演のザナドゥです。

 

以前に地上波で観たことがあるのですが、その内容は残念ながらほとんど記憶に残っていませんでした。

「多分、全部観ていないはずだ。きっと途中から観たとか、事情があって途中でやめたとか…」と記憶が薄いことを自信に納得させ……。

 

 

どうしても終盤のミュージカル・シーン、「ザナドゥ」を歌うシーンが観たくて、DVDを注文してしまいました。

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さて、私の評価…。

コラッ カネ返せ!!

でした。

 

本当につまらない、内容のない映画です。

 

この映画、どの映画評を見ても「オリビアの歌と踊りのシーン以外、見るべきところナシ」と言われています。

評論家は「無理のあるあらすじ、設定や展開、陳腐なCGがドン引きした」と言っています。

 

私は「ザナドゥ」と言う曲はもちろん、音楽担当のELOもオリビア・ニュートンジョンも好きです。

 

 

終盤でこの曲が流れ大勢で踊るシーンがありますが、その時だけちょっと鳥肌が立ちました。

あれは本当によくできた曲。

「ザナドゥ」(テーマ曲)のためだけにある映画です。

ただしその時のオリビアの衣装が残念。

可愛さ半減……。

 

 

「ザナドゥ」が収録されたE.L.Oのアルバムも持っています。

もちろん「オリビア・ニュートンジョン」のアルバムも、「ザナドゥ」のシングルも持っています、ついでに言うと彼女のコンサートDVDも。

 

このDVDを買ったのは、彼女のビジュアルに負けた結果だと思います。

「いい年をして、まだ色気づくのか、アンタは…」と心の声。

 

古い話ですが「イルカが、クジラが可哀想」と日本公演を拒否したオリビア・バアさんのDVDを買うなんて…

愛国者として猛反省しました笑

 

 

さてもう一つの話に行きます。

私が愛してやまないシカゴのメンバーが映画出演した話です。

 

それは1974年劇場公開の

Electra Glide In Blue(邦題:グライド・イン・ブルー)

です。

 

当時「8人目のシカゴ(当時シカゴは7人だった)と呼ばれた彼らのプロデューサーJ・W・ガルシオが初監督した作品で、前年の「カンヌ映画祭正式出品作品」でした。

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普通の映画好きとは視点が違います。シカゴ・ファンとしては映画の出来より、映画とメンバーの関わり方、そして音楽に興味があります。

 

結局私の住んでいる街では劇場公開もなく、ビデオやDVDもまだない時代です。

映画を観たのは数年後のTV(地上波、〇曜ロードショー的な番組でした)。

 

映画の封切後、サントラ盤LPとシングル盤(エンディング・テーマ「テル・ミー」)を持っていた私は、出演しているシカゴのメンバーがどんな演技をしてくれるのかに興味がありました。

なにせ、まだミュージック・ビデオなど無い時代です。

動いているメンバーの姿は貴重。

 

 

映画は白バイ警官の汚職に絡む話になります。

タイトルの「エレクトラ・グライド」とはバイクの「ハーレーダビッドソン」の最新型のことらしく(バイクに詳しくないので)、モニュメントバレーを背景に繰り広げられる仲間同士のの裏切り、葛藤、殺し、そして最後の印象的なエンディングへと続きます

 

 

メンバー7人のうち、出演していたのは4人。それぞれ重要な役回りでした。

音楽面(サントラ)でも5人が参加し、エンディング・テーマ「テル・ミー」では当時のギタリスト「テリー・カス(故人)」が壮大なオーケストレーションに乗って、印象に残る見事な歌唱を披露してくれました。エンディングに繋がる映像も素晴らしかった

 

ラストの映像と音楽

心に残ったのはそれだけかもしれない

 

 

もしエンディング大賞があれば贈りたい!!

 

 

 

※注)ネタバレです。

ラストはこんな映像。警官がピストルで撃たれ、スローモーションでバイクから転げ落ちる。そして静かにピアノのイントロが始まり、歌が流れる……。

 

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 その他劇中では、シカゴの弟分(ガルシオがプロデュースしていたたまそう呼ばれていた)として我々当時のファンにはお馴染みのトリオ「マデュラ」の演奏シーンがあるなど、シカゴ・ファンとしては応えられないコアな映像でした。

 

私は10年ほど前、キング・レコードから映画のDVDが発売されていることを知り、懐かしくて購入。記憶では、製作から45年、最近はありませんが、地上波で2~3回放送されているはずです。

 

DVDの解説書には「どちらかというとカルト映画に分類される」と書いてありました。

確かにそうかもしれません……

 

 

映画の興行成績はおそらく駄目だったでしょう。

 

 

惨憺たる結果だったでしょう。

サントラ盤にしても、私の様な熱狂的なシカゴ・ファンが買っただけかもしれません。

確か、見開きのアルバムで20ページくらいのブックレット、映画の背景にもなっているモニュメントバレーにたたずむ景観とバイクが写っているポスター(約1m50㎝×約30㎝)、バイクのイラストポスターが付いていたような気がします。

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ガルシオはその後もう1作だけ映画を撮ったようですが、それについては全く情報がありません。それを最後に映画界から足を洗っています。

 

 

結局この映画は、コアなシカゴ・ファン、コアな映画ファンの心に

B級カルト映画

として残ることになるのでした(私はコアなので、全く構いませんが…)。

 

それではこの「カルトな話題」はこの辺でお開きに……。

 

 

 

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※伊勢太郎の父はかく語りきシリーズは不定期の投稿となります。

「運命’76」と輸入盤/父はかく語りき

~伊勢太郎の父はかく語りきvol.8~

 

 

こんにちは、make me smileです。

 

 

70年代後半以降、ブームはあっという間に去りましたが、クラシックの有名曲をディスコ調にアレンジした曲が続々と発売された時期がありました。覚えているでしょうか?

 

 

その中に、クラシックの名曲、ベートーヴェンの「運命」をディスコ調にアレンジし邦題運命’76としてヒットさせたウォルター・マーフィーと言うミュージシャンがいました。

 

 

 

彼はアレンジャーとしてだけではなく、コンポーザー(作曲)としても才能豊かで、オリジナル曲を沢山作っていますが、日本ではほとんど紹介されることはありませんでした。

 

さて例によって40年以上前の昔話になります。

 

仕事で半年ほど札幌に住んでいたことがありますが、その時の事です。

月一度、レコードショップの輸入盤コーナーに行くことを恒例にしていました。

その日も輸入盤コーナーで色々なアルバムを物色していたのですが、何となくジャケットが気になり、「ジャケ買い」をしたのが「ウォルター・マーフィー」のアルバムです。

 

タイトルは「ファントム・オブ・オペラ」。実写やアニメで有名な外国映画「オペラ座の怪人」の物語をモチーフとしたと思われるアルバムです。

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 私はそれまで彼について、全く知識も興味もありませんでしたし、買った時もすぐに「運命’76」のミュージシャンだとはわかりませんでした。

 

 

どんなジャケットだったかと言いますと、イラストで描かれた

ファントムらしい怪人の顔の微笑んだアップがある。

長く伸びた舌先が二つに割れていて不気味。

両手を顔の前で開き、その隙間から怪しい目つきでこちらを覗いている。

全体に赤茶けた顔色である。子供に見せたら間違いなく「夜泣き」をする。

ジャケ買いにはふさわしくないアルバムでした。

 

 

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※最初に映画化された「オペラ座の怪人」(1916年)のファントム。夢も希望もない顔……

 

 

 

私の輸入盤の買い方ですが、いわゆるジャケ買い(ジャケット拍子の絵や写真、裏面のクレジットが運よくあればそれを参考にする)と決めていました。

 

知らないアーティストのアルバムを、ジャケットのデザインで買うことに、冒険心、否、遊び心がくすぐられるような気もしました。

 

 

 

話は変わりますが、ここで輸入盤について少し……。

確か輸入盤は価格が安かった(国内盤の半値?)ような気がします。

ただ、国内盤の様な解説書は付いていませんので、レコードを買ってもアーティスト情報は得られません。

 

輸入盤はジャケットの右隅だったか左隅に5mmほどの穴が開けられ(輸入の印?)、ビニールでがっちりと完全密封されていました。

 

 

日本ではまず半透明ビニールの袋にレコードが入り、場合によっては更に色々印刷された紙の袋に入っています。そしてジャケット本体に入れられる。

しかし輸入盤の場合には、基本的にレコードむき出しのイメージ。半透明のビニールがまずありません。

レコードを出すと静電気で空気中のごみやチリが凄く寄ってきました。通常、国内盤には通用する「レコード・スプレー」も効果が薄かった気がします。

商品の扱いが全然違います。これは国民性の違いなのでしょうか。

 

輸入盤が「特別悪い」わけではなく、日本盤(国内盤)こそが丁寧過ぎて、世界基準から外れているのではないかと。

 

 

モノを大切に扱う日本人だからこその「半透明ビニール袋」ではないかと、輸入盤を買うようになってから思うようになりました。ただ、輸入盤からは何とも言えない香りがしました。それは不快な香りじゃなく、かと言って「花」のような素敵な香りでもない。

しいて言えば「石鹸」のような香りです。

恐らく気のせいでしょう。しかし、そんなイメージを持っています。

ちなみに日本盤は完全無臭です。

 

あっ、そう言えば香り付きのアルバムがありました。

 

 

それはラズベリーズと言うパワー・ポップ・バンドのサード・アルバムです。

 

 ジャケットはバケツの様なカゴに山と積まれた野イチゴ(ラズベリー)の写真で、ジャケットからは野イチゴのいい香りがします。

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ラズベリーズにはエリック・カルメンと言うアーティストがいましたが、ラズベリーズ解散後、ソロ・シンガーとして活躍します。最大のヒット曲として「オール・バイ・マイ・セルフ」がありますが、これは間奏にクラシック作曲家「ラフマニノフ」の「ピアノコンチェルト第2番」を、やはりヒット曲「恋にノー・タッチ(NEVER GONNA FALL IN LOVE AGEIN)」は「交響曲2番第3楽章」をモチーフにして、ロマンチックな作品に仕上がっています。

 

 

 

話はウォルター・マーフィーに戻ります。

 

 

「ファントム・オブ・オペラ」は先にも書きましたが日本でヒットした「運命’76」とは違い「有名クラシックのアレンジだけではありませんよ、曲もちゃんと作りますよ」とばかりに、ストーリー性のあるトータル・アルバムとして魅力ある作品に仕上がっています。流行りのディスコ・ミュージック一辺倒ではありませんでした。

 

もちろん例にもれず、クラシックのアレンジ曲(ベートーヴェンの「第九喜びの歌」他)も2~3曲ありましたが…。

 

何せ輸入盤です。語学力に乏しい私にはアルバムの詳細を知る由もありません。

 想像するに「オペラ座の怪人」登場人物(ファントム、クリスティーヌ、ラウル)がそれぞれ役名で各々の気持ちを歌っているようです。そしてオペラの場面転換にはインストゥルメンタル(演奏のみ)を使用しているのではないかと思われます。

 

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 私は「ロック・オペラ座の怪人」の「サントラ盤」のつもりで聴いています。

このアルバムがCD化されていないかと探しましたが、残念ながらCDはありませんでした。

 

その代わり「amazonデジタル・ミュージック」のサイトに1曲毎購入可で全曲がありました。数10秒ですが全曲視聴できます。

よくあったと感心しています……。

 

 

YOUTUBEにこのアルバムから2曲アップされていましたが

特に「The Music Will Not End」。

 

伸びやかな歌声と間奏のゆったりとしたギター・ソロが私のお気に入りの

優しさと憂いに満ち溢れた曲です。聴いてみる価値があるかもしれませんよ。

 

 

 

もう札幌まで輸入盤を探しに行くこともないし、現在はレコードを聴く装置もありません。

 

 

この時代です。

外国盤CDは国内盤同様に簡単に手に入りますし、輸入盤をジャケ買いしていた頃の様なドキドキ感も、面白味もありません。

 

音楽のデジタル化は、ますます音楽を聴きやすく、そしてある意味つまらなくなるでしょう。

 

 

それでは今回のお話はこの辺でお開きと言う事で…

 

 

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※伊勢太郎の父はかく語りきシリーズは不定期の投稿となります。

 

 

 

 

 

 

プレーヤー改造と4チャンネル/父はかく語りき

~伊勢太郎の父はかく語りきvol.7~

 

 

こんにちは、make me smileです。

 

今日は「私のステレオの歴史」についてお話します。

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まず初めてのマイ・ステレオは、中学時代、スピーカーと本体が分かれているセパレートタイプのプレーヤーを両親に買ってもらい、それから私の音楽人生がスタートした訳です。

 

オール・プラスチック製で、ボリュームのツマミがあるだけの、小さなプレーヤーでした。

最初の頃は、喜んで聴いていましたが、徐々に物足りなくなってきたのでしょう。

 

迫力ある大きな音が欲しい

 

そう思うようになってきたのです。

 

私は街にあるラジオ店(昔はこうした専門店があった)に行き、大きなスピーカーを購入(と言ってもプラ製で一回り大きいだけ)しました。

 

「これで音が良くなる、音が大きくなる」と確信し、早速取り替えてみました。

しかし、音はいっこうに大きくなりません。

 

 

え~、何で大きくならないの

 

 

よく考えれば

プレーヤー本体の出力数がすでに決まっているのですから

大きなスピーカーを付けても

音は大きくならない

ことに気付きそうなものですが……

 

まだモノの道理がよくわかっていない中学生です。許してやってください…。

 

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こんな立派なスピーカーには手を出せなかった。

まあ、出さずに正解だった…。

 

結局思い通りの結果を出せないまま、新しいスピーカーを取り付けたプレーヤーで、その後2年ほど過ごすことに。

 

 

 

 

私が次に考えたのはヘッドフォンのことです。

シカゴのドラマーがヘッドフォンをしていたのを写真で見て、ヘッドフォンで音楽を聴いてみたくなりました。

 

音楽雑誌によると、当時のバンド・ポジションではドラムのすぐ後ろにブラス担当の3人が配置していたため、他の音楽が聞こえづらく、ブラス音の影響を少なくするためにヘッドフォンを付けたそうです。

 

しかし私のお手頃プレーヤーには、イヤフォン・ジャックヘッドフォン・ジャックも差し込む穴がありません。

 

たまたま近所に住んでいた同級生で、アマチュア無線(その昔ブームだった)、ラジオ、電波にやたら詳しい奴がいたので相談してみました。

 

 

「よし、ジャックの穴を開けよう。楽勝、楽勝」

と言うことになりましたが、私の本心はプレーヤーに穴を開ける恐ろしさと、もし失敗してプレーヤー自体が壊れたらどうするのだろう。プロの電気屋でもあるまいし、そんな簡単にジャックの差し込み穴が作れるのかと、穴を開けることに相当ビクついていたのを覚えています。

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私はまず電気屋でヘッドフォンを買い、同級生と一緒にラジオ店に行って、ジャックの差込口やら必要な物を買いました。

同級生は我が家の玄関先に工具を持ってきて、早速プレーヤーの改造?を始めましたが、電気系統が詳しいだけに案外簡単に作業は済みました。

 

今思うに結構いい加減な奴でしたので、失敗しても笑って済ませられたのではないかと懐かしく思います。

 

 

 

 

話はヘッドフォンに戻ります。

 

改造は見事に成功し、ヘッドフォンの使用が可能になりました。

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(今思うと)恐らくヘッドフォンで聴く音質は、聴くに堪えないものだったはずです。

しかし当時住んでいた家は決して広い家ではありませんでした。

部屋も4歳年下の妹と同じだったので、ヘッドフォンに頼ることが大きかったのではないか、音質にこだわっている場合ではなかった、それ以前にヘッドフォンが使える喜びが全てに優先していたのだろうと思います。

 

その後、「ポータブル・プレーヤー」から「4チャンネル・ステレオ」に変わる訳ですが、ステレオが良くなっても、それに比例して、ヘッドフォンの使用頻度は高くなって行きます。

 

 

私の中学時代は、ポータブル・プレーヤーでレコードを聴き続けた訳ですが、高校の入学祝いにと、両親に当時流行の兆しがあった「4チャンネル・ステレオ」を買ってもらいました。

 

24時間ステレオ」とキャッチコピーが付いていましたが、何が24時間なのかその意味はわかりません。4チャンネル自体も、大流行とはいかなかったようです。

 

 

4チャンネルについて簡単に説明しますと、スピーカーは4つあり、4チャンネル対応(専用)のレコードを聴くと、それぞれのスピーカーから独立した音が出て、臨場感が味わえると言うことでしょうか。とにかく私にとって、スピーカー4つということが最高の機能だったと思います。

 

しかし残念ながら4ch対応(専用)のレコードを買ったことがありません。発売されたほんの一部のレコードが4chを売りに物にしただけで、私の買うレコードは4ch対応ではありませんでした。もちろん普通のレコードも聴けます。

ただ、4つのスピーカーで聴くので、音の広がりそのものはありました。

 

「音の迫力、洪水、埋没感」のようなものはあったと思います。

特にプログレ関連のレコードを聴くとその雰囲気は味わえました。

確かに音がグルグル回っているのを実感したことがあります。

特に録音された音の詳細まで聴くのが楽しみで、あの密閉された空間でライブ盤を聴くのが好きでした。

 

 

現在はソニー社のCDラジオ(ラジカセのような機種)で音楽を聴いています。

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それが分相応だと自分に言い聞かせ、高望みしないようにしていますが

 

本当は納得のいくステレオのシステムを揃え

低音ビンビンの大音量で音楽を聴きたい

 

そして若い頃のようにお気に入りのヘッドフォンで、細かい音を味わえればと思っています。

 

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爺様の夢ですね

これは…

 

 

「夢の話」になってところで、今日の話題はこの辺でお開きと言うことで。

 

 

 

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