柿の種を拾い集めるように

料理と音楽、たまに科学

予約したケーキを受け取る時の作法とは

「誕生日にケーキ食べたい」との伴侶からの申し出があったのと制作意欲0だったので、数日前に近所のよく行く洋菓子店(自分が働いていた店ではない)に予約をしてきました。

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正直ケーキの予約をほとんどした事がなく(前職で10年程作り手側だったので、仕事終わりに自分で作って帰る事しかしてこなかった)、つまり予約して受け取るという動作をした事がありません。

 

予約時にどんな情報を店側と客側で交わす必要があるかとか、受け渡しの際に店側が客側にしなければいけない事はわかっています。

 

例えば…

 

受け渡しの際に確認する事

  1. 代済か未払かを確認(注文票を見て)
  2. ローソクが必要かを確認
  3. 保冷剤が必要かを確認
  4. 現物を実際に箱から出して客に見せる

なのですが、最も大事なのは4だと自分は考えています。

 

箱にしまっておいたケーキが仮に壊れていたとして、それに販売員は気が付かなければなりません。ケーキを壊すタイミングは、正直数え切れないほど不意な動作で発生します。ですがほとんどの場合、作り手はそれに気づいた段階で直してから箱に入れるのが当たり前

 

けれど人間そうもいかない時がありますから

 

ケーキの異常事態に販売員は

洋菓子店に従事している以上気付かなければならない

 

と思っています。少なくとも自分が働いている時は、売り子さんが「ここちょっとなおせませんか?」と言われたら直していました(しかし時間が経ってからの物は修復するとみっともなくなる可能性が高いので、そのような事態が起きない様に細心の注意を払っていた)。

 

 

で、今回予約したケーキも受け取る際に販売員が自分にケーキを一度見せてくれるのですが

 

ケーキの側面についたすった痕に、ふと気付いてしまいました。

一瞬の事でしたが、「あ」と思いました。

 

「こちらでよろしいですか?(プレートに間違いがないかを聞かれている)」

「あ、はい」

 

咄嗟にそう応えてしまったものの、このような時どう反応すれば良いのかわからず。

 

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指の痕ではなく、恐らく白衣か何かですった痕なのはわかりました。

 

 

伊勢太郎が悩んだ理由

・ついて間もない痕ではない事がわかったので、自分が「直せますか?」と言った所で完全に修復するのは作り手も「ええ!何これ、どうする」と悩むにちがいないと想像できた

・側面をこのように模様つける場合(ペーニュという道具を使いますが)、一気にぐるりとつけなければならず、その箇所だけを修復するという事は非常に難しい

(下手したら作り直した方が早い)

・店も閉店間際だったため、今から「直せますか?」と聞くのはあまりにも気が引けた

 

 

つまり自分はケーキを受け取る際の客としての作法が全くわからなかったのです。

 

販売員が仮に気付いたとして、製造に持って行ったとしても、直ぐに戻ってこれない事は明白です。

 

 

客として、自分はどう反応すべきだったのか?

 

 

「お金払っているんだから、100%のものを」というよりは

「お金貰っているんだから、120%のものを」とどうしても思ってしまい。

 

 

今ペーニュが手元にあったとしても自分は修復しません。

空気に触れて固くなってしまった生を今からいじる事は、かえって傷口を広げる事になるからです。そう思うとやはり店側もこれを直すというのは躊躇したでしょう。

 

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※こちらがペーニュです。コームとも呼ばれます。

 

 

 

伴侶にケーキを出した際、その話をしたら予想以上の反応でした。

「何でその場で言わんかったん⁉普通は変えてもらうやろ!」

やら何やら言われているうちに結局「こんな小さい事気にするんじゃなかった」と思い至り、でも結局ケーキの香りに負けてスプーンでかっぽじって食べ尽くしました。

 

 

 

自分の中で未だ答えは出ず。